制作記録

とりあえずはじめて漫画を完成させたので、過程とか思ったこととかを記録しておく。作業は大体毎週末土曜日に数時間やっていた。4回くらいだと思う。執筆途中に上達したり描き方を変えたりしたが、1ページあたり10時間くらいだろうか。いま最初から描いたら倍速とはいかずとももう少し早く描ける気がする。

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原案。一ヶ月前くらい。なんか自分にとっては結局これが一番面白い。伝えるというのは大変な作業である。テンポが早すぎる・分かりにくいという感想が多かったので、2ページにすることを考える。

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ということで2ページでかぐや様の設定を使わせてもらうことにした。ところで、スケダンの篠原健太先生がラジオで喋っているのを聴いてなるほどとなったが、ギャグ漫画で一番大事なのは劇団であるという。劇団というのは、キャラクターたちとその関係性をまとめたもの、くらいのニュアンスだろうか。

ギャグは遍く内輪ネタである。読み手に想定されている常識があり、その常識をあえて外す、あるいはその常識を仲間うちで確認する、というのがコメディ的面白さの最も普遍的な形であると思う。この常識と非常識の橋渡しには単なる「異常」に加えて読み手の思い込みを覆すような「発見」あるいはあるあるネタに代表される逆向きの「共感」などがある。

何が言いたかったというと、ギャグ漫画は、あるいは物語は「内輪」をいかに構成できるかが重要である。特に、ギャグ漫画においてその共有が行われていないことは致命的になり、新規のキャラクターを登場させて短いギャグで面白くするのは難しい。なので、ここでかぐや様のキャラクターたちを拝借したのは描き手の負担を非常に軽減している。ただし、会話の掛け合いが原作に寄せられキャラクターの性格が前提とされている分、かぐや様を読んだことがなければ、原案のプレーン人間版の方が面白いということが推測できる。

偉そうに言っているが、漫画のネームを描いたのは(雑な4コマを除いて)初めてなので、コマ割りや視線誘導など学ぶべきことがいくらでもある。。今回も、2ページどちらにおいても三段目の展開が急になりすぎ、読者を置いてけぼりにしている感じがある。(ということを言われて、確かにとなりました。)

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右ページの下書き。このレイヤーを透過して上からペン入れしていく。

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トーンなども入れてひと段落。ダジャレの説明を追加。背景色(トーンの点密度)を全部同じにしたが、単調な感じになってしまった。背景を毎コマ描いている暇はないのでうまく誤魔化したいが…。

ということでヤングジャンプを読んで背景に目を配っていると、背景を全然描かないのに面白い作品として『スナックバス江』があった。同じモノクロ手抜き背景でもここまで違うのか。また最近はカラー版の漫画とかも増えてきており、電子版ヤングジャンプの巻末にかぐや様の過去の回のカラー版がくっついていたりする。そこを見て驚いたのは、コマごとに背景色がピンクであったり緑であったり灰色であったり、とにかく単調にならないようにしている。集中線や効果音、フォントの変更などとにかく飽きさせないためのポイントが大量にある。もちろん完全には真似できないが、背景をうまく「散らす」ことに注力したのが以下の最終版である。

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左ページに関しては、恐らく最も重要なコマは二段目左下の「イラッ」という小コマである。これがない最初の案では返品が非常に唐突になってしまい、何があったのかと読者を置いていってしまう。また、オチを地の文でというのは少々弱いが、テンポをおくために引きのコマを入れた。もちろんこれを見てからジャンプを読むとペンの入り具合とか全然違うわけだが、中身を邪魔しない程度の漫画っぽさにはなっていると思う。

さて、いくつかあった反応の中で想定外だったのは、「茶色いターバンを巻いたちっちゃいロイター板」が面白いというものだ。これは当然会長(右下のキャラ)がドヤ顔で言っているので人工的なだけでスベっているダジャレという扱い(そして会長がとばっちりを受けているという場面)なのだが、これが面白いということになってしまうとダジャレBOXを返品するのもおかしいし、「まともなダジャレはないのか?」というのも謎の負け惜しみになってしまう。。自分のダジャレに関する感性の問題であろうか。

(イラッ…)俺が面白いと思ってること、大抵ウケないんだよな。二度とギャグ漫画なんて描きたくない。まあ絵の話ではなく内容の話になっている時点で、一作目としては上出来でしょう。もうこれはシリアス系ストーリーでやっていくしかないな。

 

俺たちの漫画道は始まったばかりだ!